本、映画、ひと、猫、緑々農園、備忘録。。。
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映画「放射線を浴びたX年後」(2012年 日本)



先月の東田シネマは「放射線を浴びたX年後」。


映画を見るまで知らなかったことばかり。
いや、知らされなかった、というべきか。



・昭和29年、第五福竜丸が被ばくしたことで知られる
ビキニ環礁での水爆実験は、一度だけではなく、
同年3月から5月には、なんと6回もおこなわれていた。

・第五福竜丸だけではなく、数多くの漁船、漁師たちが
被ばくしたこと

・実験による放射線の雨は日本にも降り注いでいた
・被ばくした魚は食卓にも上っていた
・被ばくした漁師たちの多くが、ガンを患い、若くして
亡くなっていたこと
・米国は、広島の数1千倍以上の威力を持つ水爆実験を
南太平洋上で幾度となく繰り返し、放射線がどの程度の
広がりを見せるのか、世界中に観測ポイントを設けて
記録していた。。。
・犠牲になった漁師たちとその家族のために、
事実を明らかにしようと尽力する人たがいること

いったいどれだけの日本人がこのことを知っているだろう。

NNNドキュメントでのTV放送やこの映画で事実が明らかとなり、
多くの人が知ることになっても、政府の対応や社会は
何も変わらないということの恐さ。

事実の隠ぺいはいまでも実際に行われているのではないか、
今現在も政府やマスコミが報じることは、
事実でも真実でもないのではないか、
そう思えてならない。


第五福竜丸、チェルノブイリ、フクシマすべてつながっている。
いったいどれだけ犠牲を払えばよいのか。


パンフレットに掲載されている監督自身が綴った日誌は、必見。
ことの重大さに戸惑いながら、取材を続けたことがよくわかる。


毎月、国内の骨太ドキュメンタリー映画を上映してくれる東田シネマ。


東田シネマ 





来月はこの映画の続編「放射線を浴びたX年後2」が5/27〜29に上映される。


 
映画「恋人たち」

終始いたたまれず、救いはあるのか。。。と暗澹たる気持ちで観てたら、
最後の最後、アツシの仕事仲間が放った
言葉の優しさに救われた。

陽のあたることのない場所で暮らす人々の日常。
なにげなく描いているようだけど、
テーマは深い。

人生なんて報われないし、
思い通りになんてならないもんだ。
自暴自棄にだってなる。
でも、生きていかねばならない。

先日読んだアレクシエービッチ女史の言葉のように、
普通のひとを描くことで、
今の社会が見えてくる
そんな映画のような気もした。

しみじみと余韻が残る。


それにしても安藤玉恵は、天下一品だなー
映画「キャロル」



いつ知れず互いに惹かれ合い、
ともに過ごしたい想いつのり、
自然と睦みあう…
恋とはそういうもの。

忘れたくないな。

予告編はこれがいい。
映画「大菩薩峠」と「無頼漢」

仲代達矢の狂気が炸裂する2本。小倉昭和館で鑑賞。

「大菩薩峠」(1966年、監督岡本喜八)
メリハリの効いたモノクロ映像、ダイナミックな演出…
悪党仲代のキレッキレな目つき。三船敏郎の圧倒的な存在感。
なかなかいいのよねー

「無頼漢」(1970年、監督篠田正浩)
脚本が、寺山修司という異色作。
芝居がかった大げさな演技、サイケな美術といい、音楽といい、
アングラ芝居を観ているよう。


どちらも惜しげも無く、濃いいキャラの役者たちが
ぞろぞろ登場して飽きない。
ぎりぎり日本映画が元気だった頃か…



仲代達矢主演「切腹」


小倉昭和館で仲代達矢の映画特集中。
仲代達矢に会いたかったので、昼間トークに赴く。
立ち見も出る盛況ぶり。

トーク前、映画「切腹」(1962年)を鑑賞。
監督小林正樹、脚本橋本忍、撮影宮島義勇、音楽武満徹、と完璧な布陣。
原作は佐賀出身の滝口康彦。
主演の仲代達矢は、29歳でこれを演じる。
見事としか言いようがない傑作。

仲代達矢は、映画最盛期、大手映画会社から厚遇を約束するから
専属にならないかと、声をかけられたが、
そうなると好きな芝居ができなくなるため、全て断ったそう。
おかげで、社をまたぎ、小林正樹や成瀬巳喜男、黒澤明といった巨匠たちに起用されたという。

自からの生き方を自ら選ぶ。
どの世界においても、なかなかたやすいことではない。
83歳の老優は、確固たる自信と大らかさにあふれていた。



ちらり、ついこの間、世間を賑わせたSMAP騒動が頭をよぎる…


京都ぶらぶら 映画編
真冬の京都で3本の映画を鑑賞。


「アンジェリカの微笑」@京都シネマ
2010年 ポルトガル・スペイン・フランス・ブラジル
監督:マノエル・ド・オリビエラ

自分にとって人生初オリビエラ作品。
公開されるたび話題になるが、チャンスに恵まれず。
ようやく見ることができた。

舞台は現代のポルトガルのポルト。
が、一見中世のようにも感じられ、時が止まったかのような雰囲気。
自分にとっては、まさに一度訪れたポルトガルの印象そのもの。
生と死、夢と現実、静けさと騒音、手仕事と機械…
相反するテーマが随所に散りばめられ、風刺や暗喩が見え隠れ。
次にどんな場面になるのか、繋がりが見えない展開など
なんとも不思議な気持ちになる映画。
101歳で撮ったとはね。
アンジェリカとの空中浮遊シーンが幻想的でとても美しい。
死者に恋をしてしまった主人公の喜びと苦悩。
人生は答えのない旅だなぁ。


「独裁者と小さな孫」@京都シネマ
2014年フランス、イギリス、ドイツ 
監督:モフセン・アフマルバフ

どこかの国で今でも起きているであろう物語。
クーデターにより、その座を追われた独裁者とその孫の逃亡劇。
見ているうちに、逃げ続ける独裁者の立場になったり、
抑圧されていた国民の立場になったり、両者を右往左往。
多くの問題を投げかけられる。
これはどんな結末を迎えるのだろうかと思ったら。。。
母国イランを脱出し、未だ亡命生活を送るアフマルバフ監督。
ラストに託した希望は、血で血を争う憎しみの連鎖を繰り返し、
疲弊した国で生き伸びた経験がある者だからこその答えなのかな。



「あえかなる部屋 内藤礼と光たち」@立誠シネマ
2015年 日本 監督:中村佑子

豊島美術館の「母型」など、今、注目すべき現代美術家、内藤礼。
内藤礼から、ドキュメンタリー映画の出演を断られたところから
スタートするこの映画。
メールや会話のやり取り、女性たちの内なる言葉の羅列が
見る者の創造を膨らませる。
主役不在ながら、内藤礼の作品世界をこんな形で映像化
してしまった中村監督に脱帽。
随所に登場する内藤玲の作品がとても神秘的。
いつか出会いたいもの。
静謐さに、ひととき触れ、心洗われた。



 
2015年わたくしベスト映画


2015年わたくしのベスト映画を、数少ない見た中から選ぶなら、
洋画は、「雪の轍」(監督ヌル・ビルゲ・ジュライン、トルコ)、
邦画は「百円の恋」。

「雪の轍」は、ロシア文学のようなシェイクスピア演劇のような、
緊迫した言葉の応酬がわたし好み。

どちらもイタイイタイ…
痛みと再生のものがたり。


北九州市民映画祭で上映された
「江分利満氏の優雅な生活」(1963年作 岡本喜八監督)は、貴重な機会だった。

今年はどれだけ見れるかな。
野外劇団楽市楽座

野外劇団楽市楽座がやってきた!

今年は秋。

バードフラワー♪投げ銭♪
キリコさん、カッコよかったー

岡本喜八作品2つ


岡本版「日本のいちばん長い日」予告編

この時期になると戦争をテーマにした
ドキュメンタリーや映画などのTV放映が多くなる。

今年の収穫は、BSで放映された岡本喜八監督作品2本。

「日本のいちばん長い日」(1967年)
橋本忍の見事な脚本、緊迫感あるモノクロ映像、
当時、第一線で活躍中の役者たちの鬼気迫る迫真の演技、
文句のつけどころがない。傑作。
三船敏郎も黒澤映画とはまた違った魅力が。
この夏公開のリメイク版もみたくなる。

「肉弾」(1968年)
ATG作品。「日本のいちばん長い日」とは状況異なる、
戦争末期の名もなき一兵卒の狂気に満ちた哀しいお話。これも傑作。
かれこれ30年近く前(大昔!)になるだろうか、TVで深夜に
放映されていたのを見た記憶あり。
なんだかすごいものを見てしまったという強烈な印象はあったのだが、
正直なところ、暗い重い印象ばかりが残り、
当時の自分は十分に理解できなかった。
いま改めてみて、ほんとうにすさまじい映画だと思う。
狂気の中にあふれるユーモア。
岡本喜八監督の反戦への精神が全編にわたってにじみ出ている。
寺田農、大谷直子、笠智衆、北林谷栄・・・役者もすごい。
ナレーターは仲代達矢。
漫画・辻まこと、とあった。

昨年、再放送されていたNHK特集「神様がくれた時間
岡本喜八と妻 がん告知からの300日」が思い出される。
プロデューサーとして資金集めに奔走したり、
TVショッピングに出演までして生活費を稼いだり、
癌に侵された岡本監督を亡くなるまで自宅介護したり、
長きにわたり監督を支えたみねこ夫人。
才能にさぞやほれこんでいたのだなぁ、と。
監督ひとりではなしえなかった人生だ。

映画「おみおくりの作法」

テーマは「死」「孤独」かと思ったら、「生」だった。
死を意識すると、どう生きるかを意識するものだ。

孤独死したひとを弔う、ということが仕事の
真面目な主人公ジョン・メイの生きざまを通じて、
人の、そして自らの生きざまとは何か、おのずと考えてしまう。
とてもいい映画だった。