本、映画、ひと、音楽、旅のことなど
<< November 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
『悲しみの秘儀』(若松英輔著、ナナロク社)

雨の休日。
「言葉」を読むだけではなく、ちゃんと「言葉」と向き合おう…
と思える美しい本と出逢った。


連休の中日。毎年のように家族が集まり宴会、
のはずが、父の体調芳しくなく、ひとり付き添うことに。

おかげで、というのもなんだが、ずっとカバンの中に入れて持ち歩いていた
『悲しみの秘儀』をじっくり読むことができた。

宮沢賢治、神谷美恵子、須賀敦子、石牟礼道子、志村ふくみ…そして著者。
哀しみの中から言葉を紡ぎだしてきた人たちの
こころの声を聞いた気がする。

若松さんの本をもっと読みたい。

外は雨。
心身の自由を失った父の哀しみを思う。

読書会

本とビールと焼き鳥と…


私が参加している読書会、
いつの間にか女性は私一人になっとるし…

順番に推薦する本を一冊挙げ、それを全員が読んできて、
ツキイチで集まり、合評するというシステム。
お酒飲みながら、が条件^^;

今月は、『大世界史』(池上彰・佐藤優著/文春新書)。
知の巨人のおふたり。なかなか手強い本でした。
この読書会、自分では、絶対読まなさそうな本が
課題になったりするのが醍醐味。
暮しの手帖

ひっそりと「暮しの手帖フェア」開催中。




何度見返しても飽きない





いまも定期購読中。



牧野伊三夫さんの描いた表紙


花森さんの「暮しの手帖」のような場所になったらいいなぁ、
とおこがましくも思い、緑々をはじめたのでした^^;
当時のブログ

本に囲まれてるだけやん…


無期限開催中。
ご自由にご覧ください(非売品)。


とと姉ちゃん、いいドラマになるといいなぁ。
『チェルノブイリの祈り』(スベトラーナ・アレクシェービッチ著)

チェルノブイリ原発事故に遭遇してしまった普通の人びとの生々しい証言集。

愛する人を失った女性、住み慣れた家や土地を奪われた人びと、
被災した子供たち、事故処理業者、医師、科学者、兵士、ジャーナリスト…
次々に語られる衝撃的な体験、心の記憶。
何も知らず命を落としていったスズメや家畜、生き物たちが憐れでならない。

「普通の人のことばのなかに真実があるんですよ」と作者の言葉の通り、
どんな資料よりもリアル。


手抜工事、現場作業員の無知・無自覚、ソビエト政権による隠ぺい…
次第に明らかになってくる事故の全貌。
巨大な社会主義国を崩壊に導いてゆく事態となる。


核燃料が残ったままのチェルノブイリの「石棺」の中で、今なにが起きているか
誰も知りえない…と。

ずしり。
これは未来の物語。


ヒロシマ、ナガサキ、チェルノブイリにつづくフクシマ…
何の教訓もなされず、繰り返される恐怖。
このままでいいわけがない。





 
平穏死

知人のすすめで石飛幸三さんの著書
『「平穏死」のすすめ』を読む。

「ヨレヨレ」『へろへろ』「平穏死」と読み進み、
ヒトの最期のあり方について考える今日この頃。

胃瘻などといった延命のための治療はのぞまず、
平穏に死を迎えたい、そう思う人は多いと思う。
が、現実はなかなかそうはいかない。
現場のさまざまな葛藤がありありと描かれる本著。
のぞまぬ延命治療を強いられ、死にたくても
死ねないという現実。ため息が出る。

何のための医療、介護か?
延命のための技術や制度とは、本来は人が幸せに生きるため、
天寿を全うするためだったはず。。。
だのになぜこうまで複雑になってしまったのか。

おととし、家族に見守られ穏やかに逝った愛猫のことを思う。
息を引き取る直前まで、よろよろと死に場所を探し回り、
弱ってからほんの数日で息を引き取る姿は見事だった。
動物の自然な生き方、死に方にヒントがあるように思えるのだか。。。

 
俳句絵本『ねこはい』(南伸坊著)

猫になりきり俳句詠むなんて…
欲しかった一冊。

松田哲夫氏の『縁もたけなわ』のイラスト見てたら、
南伸坊氏に向かってしまった。


なりきり本人シリーズ、『本人伝説』も『本人の人々』も、
他のと笑いの質がちょっと違う。



ぶはっ、と吹き出してしまうのはなぜ?


『縁もたけなわ』(松田哲夫著)

時間に追われる日々。
隙間時間に入った古本屋さんで手に取った一冊。

松田さんは、筑摩書房贔屓として気になる存在でして。

帯にあるごとく、まさに大宴会に紛れ込んだ気分になれる。



全く見る機会もさしたる興味もなかったTV「王様のブランチ」。
天童荒太さんや西加奈子さんのブームはこの番組の
松田さんの本紹介コーナーから生まれたのね。
ふうむ。

本やシリーズ、全集の企画が生まれる過程がわかり、楽しく読んだ。


こういう作家さんがたくさん登場する本読むと、本の虫が騒ぎ出してしまう…
『最強のふたり 佐治敬三と開高健』(北康利著)

波瀾万丈の時代を生き、一時代を築いたふたり。
盛りだくさんの内容でお腹いっぱい。


サントリー創業史、洋酒やビール製造の業界話もとても興味深かったが、
開高健の生きざまを面白く読んだ。
『洋酒天国』で一世を風靡した広告宣伝(サンアド)の時代、
ベトナム戦争特派員時代や芥川賞受賞、その後の人生などが、
詳しく綴られていて、一気に読める。
CMのイメージが強く、豪放磊落、陽気な人だとばかり思っていたけど、
家族には恵まれず、鬱に苦しむなど、こんな寂しい一面もあったのか…と。

思えば開高健の小説は、高校生の時に読んだぐらい。
なかなか手つかずだったけど…読まなきゃ。
開高健元年になりそうな予感。

『ヨレヨレ』と『へろへろ』

隙間風だらけで寒さ厳しいわが家。
本を読める唯一の場所、お風呂で『へろへろ』(鹿子裕文著)読了。

鹿子さんがひとりで作っているという、福岡の「宅老所よりあい」の
面白い雑誌『ヨレヨレ』もこの本も、ほんとに面白かった。

「よりあい」、という介護の世界では稀有な存在や
その中心人物である下村恵美子さんや村瀬孝生さんたちがあって
生まれたこの本だけれど、鹿子さんの素直で飾らない、
ふざけているようで大真面目、とても巧みな文章が
さらにそのおかしみや人のあたたかさを際立たせ…
いやもう、なんと言ったらいいのか、笑ったり、ほろっとしたり、
凄いなーこの人たち、鹿子さんて文章上手いなー、と。
きちんと伝えたいことを自分の言葉で伝える、
という姿勢が貫かれていてとても気持ちよい。


介護する人でも、される人の立場でもないひとりの、
そう、たったひとりの人間が、なぜ介護や老いのことを書くまでに至ったか…
鹿子さん自身が、一番不思議に思っているんじゃないかな。
人は人との関わりで、何事か為す生き物なんだなぁ、
と思わざるをえない。

「長いあとがき」に深く共感。以下抜粋。


…因果はめぐる。他人にしたことは、必ず自分にも返ってくる。
老いた人間やぼけた人間を邪魔者扱いする社会は、いつか自分も
邪魔者扱いされることになる社会だ。人が人を薬漬けにして、
おとなしくさせようとするのなら、その人もいつか薬漬けに
されていくことだろう。何はともあれ、人が人をダメにして、
人が人を追い出していくシステムの中で、ビクつきながら
暮らすのは、あまり楽しくないはずだ。




まさに自分も今、父の介護真っ只中。
不可思議な介護の現実に直面し、いったいどこに向かって
いくのやら、と思う日々。
この言葉を忘れないでいよう。



『海うそ』(梨木香歩著)

雪見日和は読書日和。



あくせくしている時に開きたくなかった『海うそ』。

降雪で身動きとれず、時が止まったかのような日が訪れ、ようやく好機到来。





小さな島を舞台に、かつて人の営みとともにあった文化や伝承、

豊かな自然、生命の不思議が細やかに著され、

今、語り継ぎたいこと、守らねばならないことを静かに語りかける。

民俗学や植物学などさまざまな興味を広げさせてもくれ、

あまりにも深い内容に恐れ入ってしまった。



いまわたしたちは、発展や進歩の名のもとに

何か大きなものを失っているのではないか、

このまま見過ごしてよいのか、

移り行く時代の流れをどのように受け止めたらよいのか、

模索する気持ちをこのような物語にしてしまうとは。

梨木香歩、なんという作者なのだろう。
しばらく海うそショックに陥りそうだ…