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父の気骨

清々しい秋の空。
父が脳こうそくで倒れてからおよそ10カ月。
春が過ぎ、夏を越え、秋になった。

当初は、いくつもの管を体に通され、ベッドにつながれた状態で
厳しい状態だったが、すっかり容態が落ち着いてきた。


春には、歩行器で歩くことができるようになり、
そのうち車椅子で移動することを覚え、失語や言語の後遺症も
軽く、コミュニケーションも問題なく、
管も一つずつはずれ、できることが少しずつ増えていった。
ただ、先行きの不安からか、気持ちは、浮いたり沈んだり…
一進一退の日々が続いていた。

何より困ったのは、味覚障害。
何を食べても吐き出してしまうから、もはや胃瘻しかないのか…と、
ひと月ほど前に、半ば諦めがちに醤油をかけたお豆腐を食べさせてみた。
一口食べて「美味しい」と言った時は、奇跡が起きたと思った。
それ以来、食事はすべて食べるようになり、やる気も増し、
表情も豊かになって、倒れる前の父が甦ったかのよう。
自ら咀嚼して食べることは、やっぱり生きること、なんだなぁ。

医師からは、父のような高齢(81歳)の脳梗塞の患者の場合は、
半年ほどでリハビリの効果も少なくなり、
それ以上いくらリハビリをしても、
めだった回復はほとんど見られない…と言われていた。

が、父はデータ上かなにかの世間の常識を覆してくれた。
ここにきて、父の気骨を見せつけられている。

何事にも時間がかかる。
世の中には父のような状況の方はたくさんいると思われ、
あきらめないでほしいなぁと思うばかり。

とはいえ、気管切開もしており、まだまだ課題は多い。
ひとつずつひとつずつ、あせらず見守っていきたい。

父が倒れた時、「脳のダメージは、一言で言うと長嶋さんの
ような感じです」と言われていた。
皮肉にも父は大の巨人ファンだ。
あの長嶋さんもこんなふうにして回復していったんだろうか。。。