本、映画、ひと、音楽、旅のことなど
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映画「彼女の人生は間違いじゃない」

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監督廣木隆一。

 

震災後、デリヘル嬢となり、福島と東京を

行き来する公務員の主人公。

妻も仕事も失い、酒におぼれるその父。

原発作業員の夫と精神が壊れてしまった妻。

地域の復興に奔走する公務員と新興宗教に溺れるその家族。

 

なにも特別なことが起きるわけではない、

今を生きる、福島のごく普通の人びとを淡々と描く。

あの日の後、家族を失い、住処を失い、仕事を失い、心を失い…

すべてが変わってしまった。

変わってしまったことを受け入れられないのに、

ただただ日常を受け入れるしかない人々。

叫ぶことさえできない人々。

忘れようとしても忘れられない記憶が人々の心を揺さぶる。

静かな場面にも、その心の叫びが聞こえるようだ。

 

誰にでも起きうることだった。

誰にもかけがえのない日々があったのだ。

 

京都で観た3本のうちの一つ。

心に残る映画だった。

京都映画三昧



8/1、2の定休日、真夏の京都でシサム工房の展示会に赴く。

歩き回るのは拷問のような暑さ… でもって、お仕事以外は映画館へ。

今回は、ラッキーなことに、
月の初めのファンサービスデーと
水曜日サービスデーの2日間にあたったので、
1本1100円。お財布喜ぶ。
観たかった映画を3本鑑賞。

 

まずは、お目当てポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダ監督の

「残像」。

 

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全体主義国家とひとりの芸術家との闘い。

ワイダ監督自身を投影したかのような主人公の意思の硬さ。

文句のつけようがない見事な映画。

 

そして「揺れる大地」。

まさかこの夏、ルキーノ・ヴィスコンティの

1948年の作品を観ることができるとは。

生誕110周年、没後40周年のメモリアル上映に遭遇。

ヴィスコンティが描くネオ・リアリズモ。

全編、力強く、芸術的な映像。

今でも目に焼きついているのは、

荒れる海にたたずみ、男たちを待ち続ける

女たちの場面。

海と空の白、女たちがまとった衣装の黒とのコントラスト。

モノクロでなければ描けない情景。

パンフレットには、1978年の『キネマ旬報』の

増村保三監督の文章が掲載されており

(当時の邦題は「大地は揺れる」)、嬉々として読む。

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あと一つどれにしようか迷ったが、

「彼女の人生は間違いじゃない」(廣木隆一監督)に。

これは、選んで正解!

間違いじゃなかった 笑

 

ホテルは「京都シネマ」が入っているビルに隣接。
暑さをほとんど感じることもなく過ごしたのであった。

映画『20センチュリー・ウーマン』

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先月、映画フリークM夫妻に教えてもらわなければ、

見逃していたであろう映画『20センチュリー・ウーマン』。

監督のマイク・ミルズは、自分も好きな作家

ミランダ・ジュライのパートナー。

…ってこともあり、好きな世界観。

 

この映画の魅力は、なんといっても3人の女性。

アネット・べニングいいし、グレタ・ガーウィグと

エル・ファニングが自然体で素敵でかわいくて、観ていてうっとり。

 

1979年夏のカリフォルニアのサンタバーバラって、

こんなだったんだ。

パンク、フェミニズム、セックス…

当時、日本の九州のど田舎にいた自分には

縁遠い世界だけど、耳にしたことがある事柄が出てきて、

なんだかとても懐かしい。

衣装やインテリアが素敵。生活文化が新鮮!

 

20世紀、よき時代なり。

 

 

 

 

映画『人生フルーツ』 ほか

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『人生フルーツ』

大評判映画だからか、北方シネマも嵐の夜にかかわらず、

多くの人が観に来ていた。

 

津端夫妻の素敵な生き方は著作の『ときをためる暮し』を

読んで興味を持っていた。

 

よくできたドキュメンタリー。

が、どこか物足りない。

「プラスチックはダメ」

「コンビニで買い物をしない」

といったふたりの行動原理がみえない。

美しく日常を切り取るばかりで、

生き方の根っこが見えてこない気がした。

 

パンフレットの監督日誌によると、

実は津端修一さんは取材を断固拒否し続けていたという。

人づきあいも苦手。

何度も激しく断られたり、かなり紆余曲折あってできた映画のよう。

逆にその性格をそのまま描いたほうがよかったのでは…

なんて思ったり。

確かに素晴らしい生き方で多くの方に影響を

与えたおふたりではあるけど、遠い存在に感じられて残念。

あまり美しく脚色せずに、夫妻のありのままの姿を写し、

観る人にもっと考えさせてもいいのではないかなぁ、と。

 

ま、映画にはいろいろ思うところはあるが、

津端さんのいう「ときをためる暮らし」は、

あきらかに自分の中の何かを目覚めさせて

くれたような気がする。

 

 

ほかにも、このところの忙しさの中で観た映画。

 

『セールスマン』

イランのアスガー・ファルファディ監督作品。

レイプ被害がテーマ。

主人公夫婦が舞台役者という設定の中、

イラン社会でどう扱われるのか…

被害者が声を上げない中で起こるドラマ。

背景は違っても、どの国も一緒。

悶々としてしまった。

 

『FAKE』

これは森達也氏にしてやられた!って感じの映画。

いったいこの世の真実って何だろう?

あたまがこんがらがる。

 

『将軍様、あなたのために映画を撮ります』

これはなかなか拾い物。

不思議のクニ、北朝鮮。

最近どなたかが「北朝鮮に戦後はない、朝鮮戦争をまだやっている」

という発言があったが、まさにそうかもしれない。

 

 

 

 

 

映画「ムーンライト」

ちょっと前に観た「ムーンライト」は静かでとても美しい映画だった。
説明が一切ないところが気に入ったな。

水俣病講演会へ



4/30(土)店を休みにして、

天神の光円寺で開かれた水俣病講演会へ足を運ぶ。

プログラムは、原一男さん、森まゆみさん、若松英輔さん、

緒方正実さんたちによるそれぞれの水俣の話の後、

全員での対話。

司会は奥田愛基さん。

 

豪華登壇者。

3時間で収まるはずはなく、約一時間押しで終了。

 

水俣病とは何か、何を失ったのか…答えはあろうはずもなく。

 

死者たちの言葉にならない言葉、

本当のことは表に出ない(見えない)…


なぜ、今、あなたたちはここにいるのですか?

なぜ、今日この話を聞きにきたのですか?

という若松さんの問いかけは胸に堪えた。

水俣病は、いつのまにか自分自身の問題に

なっていた。
 

体験に基づくみなさんのお話、

この場では消化できず。

著作によって知るしかない。

 

おんなじいのちコンサート



生活困窮者を支援するNPO法人「抱樸」主催コンサート。
以下はコンサート直後に感動のあまり、谷本さんに送ったメール。

  未だお忙しい最中かと。失礼します。

  本気、本物に触れ、感動しすぎて、
  放心してます。
  全て素晴らしかった!

  谷本さんの伸びやかな歌声にも
  めちゃくちゃ感動しました!

  ひとは皆、おんなじいのち。不肖ながら、
  私も痛感すること多し。
  なんか、まだまだやなー自分、と

  やる気が湧いてきました。

  素晴らしき抱樸。

  ほんとうにありがとうございました(^ω^)

 

1部は、胸に迫る演奏と歌。

音楽性の高さもさることながら、

その思いがさく裂した圧倒的なパフォーマンスに

心から感動。

 

そして2部、抱樸代表奥田さんのお話。

昨年の相模原事件を中心に進む。
世の中から、役に立たないものは排除しようとした加害者。

その彼こそ、彼のような思想を生んだこの社会の被害者であると。

彼もまた、おんなじいのちであると。

 

○○ファースト、と叫ぶ政治家たち。

ファーストは2番目、3番目を生み、人を序列化し、

他者を排除することになるのでは、と。

 

また、世の中が、簡単で易しくて楽しくて、

それがほんとうにいいことなのか?
生きるということは簡単じゃない、苦しみを伴う…
葛藤があってこそ、生きるということではないか、と。

 

ホームレスの支援に関わり27年の奥田さん、
葛藤あり、涙あり、喜びあり…
思いと行動がともなってこその言葉に、本気の姿に

熱く感動してしまった。

毎年この時期に開かれる抱樸のイベントに

自分はいつも励まされる。
今回も、奥田さん、谷本さん、抱樸のみなさんの

本物の優しさに触れて芯から、あたたかさに包まれた。

このような機会を常にもたらしてくれる谷瀬さん。
ありがとう。心から感謝。

2月の映画「沈黙 サイレンス」

 

 

2月に観た映画「沈黙」のこと、メモ。

 

 

・映画「野火」以来、塚本晋也監督びいき。
あの表情はなかなかできるもんじゃない、と。
あんなにやせて大丈夫か、と本気で心配したり。
塚本監督は、公開前のプロモーションには主役並みに登場。
FBやツイッター、ラジオ結構、追いかけ。

 

・本という平面が、立体に立ち上がる映画。

映画となると背景や色、役者の表情、セリフの強弱によって

同じ原作でもつくり手によって違うものに(当たり前のことだが)。

 

・自分が読み流した部分が、たっぷり時間をかけて描かれていたり

ここ長いなぁ、ここチカラ入っているなぁ…

原作の捉え方は人さまざまなものだなぁ、と。

ストーリーは原作には忠実でありつつも、演出する者によって

独自の世界が現れる映画。

読むほうが先、のほうがおもしろいなぁと思う。
自分はやはり読んでから観る派。

 

・布教する者と禁じる者、宣教師と信者、
殉教するものと転ぶもの、お役人と農民、外国人と日本人、
さまざまな立場が偏りなく描かれる。
原作もそうだが、映画も。ますます混迷。


・役者は皆、迫真の演技。だれもが素晴らしかったと思う。
特にリーアム・ニーソンの存在感はすごかった。

 

・遠藤文学は、出口の見えない倫理的な問題を取り扱ってはいるが、
小説にすることですこーし歩み寄ることができる。
もしかしてエンターテインメントとして読んでいいのか、という感覚。
「海と毒薬」「私が棄てた女」もそういえば、そんな感じだったなぁ。


・マーティン・スコセッシ監督、ありがとう。次回作は、あるのか…。

 

 

映画「ふたりの桃源郷」

2月の東田シネマ、「ふたりの桃源郷」。

 

88歳、病の身ながらもなお、薪を割り

背筋をピンと伸ばして直立するおじいさん、カッコいい!

 

山道で手に入れた、たった一本のリンドウをおじいさんに

差し出すおばあさん、かわいい!!

 

敬語で語りかけ、敬いあう夫婦、家族の姿がうつくしい。

 

たったふたりの山暮らし。

自然の中で多くの命や愛に囲まれ、豊かに生きたふたり。

ともに慈しみ合い、体を動かし、できることはなんでもやって、

生きることを全うしたふたり。

こうした人の営みは、子や孫に累々と引き継がれてゆく。

 

夫婦とはなにか、家族とはなにか、老いとは…

生きていくうえで大切なことはなにか。

そんなことを考えさせてくれる、感動的な作品だった。

 

 

腰の大きく曲がったおばあさんは、まさに亡き母の姿。

どうしても両親を重ねてしまう。

こういう映画、今の若い人はいったいどう見るのだろうか。

 

 

日本のドキュメンタリー映画の良作を上映してくれる東田シネマ。

来月は『 広河隆一 人間の戦場 』 

4月からの北方シネマにも期待大。

1月備忘録 京都映画三昧

1月上旬、シサム工房さんの展示会のため、京都出張。

ラッキーなことに、観たい映画がこぞって公開中。

 

1本目。

すごいものを見てしまった!

 

「アルジェの戦い」(1966年、伊・アルジェリア)

ドキュメンタリーかと見まごうリアルさ。

演じているとは思えない迫真の演技。

胸にずんずん迫りくる圧倒的な音楽。

緊迫につぐ、緊迫。

これほんとに1966年の映画!?

おそらく自分が今まで見たい映画で5本の指に入る。

 

2本目。

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みなみ会館でアッバス・キアロスタミ追悼上映中。

「そして人生はつづく」鑑賞。

「友だちのうちはどこ?」(鑑賞済み)

「オリーブの林を抜けて」(未見)と合わせて、

ジグザグ道3部作と言われる作品。

こんな撮り方あったんだー。

1作見ただけではわからない、キアロスタミが巨匠と

呼ばれる所以がわかったような。

 

3作目。

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ドキュメンタリー映画「ヒッチコック/トリュフォー」(2015年、米・仏)。

スクリーンの中とはいえ、大好きなトリュフォーに会えて 涙